日本の水道水は世界的に見ても厳しい水質基準をクリアしており、安全性が確保されているため、そのまま飲んでも問題はありません。
ですが、飲料水として使うことに不安を感じている方は少なくないのではないでしょうか。水道水はとても経済的で、いつでも手軽に飲めるのがメリットですが、デメリットがないわけではありません。本記事では、水道水のメリット・デメリットのほか、考えられる危険性について解説していきたいと思います
水道水を飲むメリット
水道水を飲むメリットとしてよく言われるのが、「安全性が高いこと」「経済的であること」「いつでも手軽に飲めること」「環境負荷を低減できること」「ミネラルが含まれていること」などです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
水道水は安全性が高い
日本の水道水は、非常に厳しい水質基準によって管理されています。水道水質基準は、水道法によって定められており、合計で51項目あります。加えて、水質管理上留意すべき項目として「水質管理目標設定項目(27項目)」が、今後必要な情報・知見の収集に努めていくべき項目として「要検討項目(46項目)」が、それぞれ定められています。
※参考:水道水質基準 | 水源・水質 | 東京都水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/kijun/
このように厳しい水質基準によって管理されているため、日本の水道水は世界的に見てもトップレベルの安全性があると言われています。そのため、安心して飲むことができます。
水道水は経済的である
名古屋市上下水道局が公開している情報によると、水道料金の平均単価は1m3(1,000リットル=一般的な家庭のお風呂約5杯分)あたり約160円となっています。これに対し、ペットボトルの水の平均的な希望小売価格は、1リットルあたり約160円です。両者を比較すると、水道水よりペットボトルの水のほうが約1,000倍高いという計算になります。
※参考:家計にやさしい水道水 | うるおいライフ
https://www.water.city.nagoya.jp/uruoi_life/category/learn/3074.htm
水道水を飲む家庭とペットボトルの水を飲む家庭では、長期的に見ると費用負担に大きな差が生まれることが分かります。水道水を飲み水にすることは、非常に経済的な選択だと言えるでしょう。
水道水はいつでも手軽に飲める
ペットボトルの水を入手するためには通常、スーパーやコンビニに買いに行く必要がありますが、この手間を面倒に感じている人は少なくないでしょう。水は重さがあるため、持ち帰ってくるのもひと苦労です。また、一定量をストックしておくためのスペースも必要です。
これに対し、水道水は蛇口をひねるだけで、いつでも手軽に飲むことができます。わざわざ買いに行く必要はありませんし、ストックするための場所も必要ありません。新鮮な水がすぐに出てくるのは、水道水の大きなメリットだと言えるでしょう。
水道水は環境負荷を低減できる
ペットボトルの水は飲料水として一般的になっていますが、そのサプライチェーンにおいて環境に大きな負荷をかけていることが知られています。ペットボトルは製造・流通・廃棄・リサイクルの過程で少なくない量のCO2が発生します。また、リサイクル率は高い水準にありますが、廃棄されたペットボトルによる海洋汚染の問題は依然として深刻です。
飲料水をペットボトルの水から水道水に変えることで、CO2の削減、環境負荷の低減につながり、持続可能な社会づくりに貢献することができます。
水道水はミネラルが含まれている
日本の水道水は、微量ながらカルシウムやマグネシウム、ナトリウム、カリウムなどのミネラルが含まれています。カルシウムは骨の形成・維持に必要で、特に成長期の子どもや高齢者にとって重要な栄養素です。マグネシウムは筋肉の収縮や神経伝達に欠かせないミネラルです。ナトリウムは体内の水分バランスの調整に役立ち、カリウムは正常な筋肉の収縮や高血圧の予防に寄与します。
このようなミネラルを摂取できるのは、水道水を飲むメリットの一つです。
ただし、水道水に含まれるミネラルは微量なので、健康維持のためにはバランスの良い食事から栄養素を摂取することが大切です。
水道水を飲むデメリット
水道水を飲むデメリットを挙げるとしたら、「塩素臭があること」「配管や蛇口の汚染リスクがあること」「地域によって硬度に差があること」「災害によって断水が発生する可能性があること」「イメージが良くないこと」などです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
水道水は塩素臭(カルキ臭)がある
水道水には、消毒のために塩素が添加されています。塩素消毒は、水道水から細菌やウイルスを除去するために欠かせませんが、残留塩素があるために独特の塩素臭(カルキ臭)が気になるという人は少なくありません。
水道水の塩素臭は、飲んだときの味の感じ方や、料理に使ったときの風味に影響を与えることがあります。千葉県で実施されたアンケートでは、水道水をおいしくないと感じる人(19.8%)のうち、そう感じる理由として「塩素臭いから」と回答した人が35.3%に上りました。
※参考:その1「水道水」で気になる「塩素のにおい」って?/千葉県
https://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/keikaku/oishii2/qa/qa01.html
なお、浄水器を使ったり、沸騰させたりすることで塩素臭を軽減することができます。
水道水は配管や蛇口、貯水槽の汚染リスクがある
古い建物は、配管や蛇口の劣化によって内部が汚染されている可能性があります。配管内・蛇口内が汚染されていると、水道水に汚染物質が混入するリスクがあります。
たとえば、老朽化した配管から錆びが発生し、これが水道水に混入することで健康に悪影響を及ぼす可能性はゼロではありません。また、マンションには、水道水を一時的に貯めておく貯水槽がありますが、貯水槽が適切に管理されていない場合、藻類や細菌などが繁殖することで水質が汚染され、健康被害を招く可能性があります。
このように、老朽化した配管・蛇口や適切なメンテナンスがおこなわれていない貯水槽があると、水道水の安全性が低下するおそれがあります。
水道水は地域によって硬度に差がある
水の硬度とは、含まれているカルシウムやマグネシウムの量のことで、硬度の高い水は「硬水」、硬度の低い水は「軟水」と呼ばれます。WHOのガイドラインでは、硬度60mg/L未満の水を「軟水」、60~120mg/L未満の水を「中程度の軟水」、120~180mg/L未満の水を「硬水」、180mg/L以上の水を「非常な硬水」と分類しています。日本の水道水の平均的な硬度は50mg/L程度なので、「軟水」に当たります。
ただ、水源や水質管理方法の違いにより、同じ軟水でも地域によって硬度に差があります。そのため、味に敏感な人は、ある地方では水道水を飲みやすく感じても、別の地方に引っ越したときに水道水の味が変わり、飲みにくいと感じることがあります。
水道水は災害によって断水が発生する可能性がある
自然災害によって水道施設に被害が及ぶと、断水が発生する可能性があります。
たとえば、東日本大震災では約257万戸が断水に見舞われ、最大で約7ヶ月間、水道水の供給が停止しました。その他の自然災害でも、送水管の破損などによって断水が広範囲で発生した例は少なくありません。このように、自然災害によって断水が発生する可能性があることは、水道水のデメリットだと言えるでしょう。
飲み水を水道水だけに依存していると、断水が起きたときに大きな影響を受けます。
自然災害に備え、ウォーターサーバーやペットボトルの備蓄水を用意しておくことは非常に重要です。
水道水はイメージが良くない
日本の水道水は安全性が高いにもかかわらず、そのイメージは決して良いとは言えません。パナソニック株式会社が実施した水道水に関する全国調査によると、「水道水をそのまま飲むことに対して、抵抗感を感じることがありますか」という問いに対し、約半数(48.5%)の人が「とても感じる」「まあまあ感じる」と答えています。「住んでいる地域の水道水は美味しいと感じますか」という問いに対しては、「とても感じる・まあまあ感じる」(50.7%)と、「あまり感じない・全く感じない」(49.3%)が約半数ずつとなっています。
※参考:水道水に関する全国調査 | パナソニック株式会社 コミュニケーションデザインセンターのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000873.000024101.html
このように、水道水に対して否定的な印象を持つ人は少なくありません。
マイナスイメージがあると、実際に飲むときの味の感じ方にも影響を与えてしまいます。
水道水を飲む危険性はある?
日本の水道水は安全性が高いので、そのまま飲んでも問題はありません。しかし、水質は常に変化するものであり、この先、水質汚染事故が起きない保証はありません。水質について考えられるリスク・危険性は認識しておいたほうがいいでしょう。
PFAS
PFAS(ピーファス)とは、人工的につくられた有機フッ素化合物の総称です。水や油をはじき、熱に強いという特性から、私たちの身の回りにあるさまざまな製品にPFASが使われています。PFASは、私たちの生活に役立ってきた一方で、自然分解しにくく、人体や環境に対する有害性が明らかになり、現在では国内での使用・製造や輸入が原則禁止されています。
PFASは水に溶けやすい性質があり、PFASを含んだ工場排水や廃棄物の処理によって河川や地下水に流れ出て、一部の地域の地下水や水道水からPFASが検出されています。水道水などから体内に入ってしまうと排出されにくく、長期的に摂取した人の健康被害が懸念されています。現在、どの程度の量で健康に影響が出るのかは確定的な知見がなく、国際的に様々な研究が進められています。
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トリハロメタン
トリハロメタンとは、水源となる河川やダムの水に含まれる有機物と、浄水場で消毒のために加えられる塩素が反応してできる物質で、発ガン性を示すものがあります。川などの水には、都市排水などの中にある有機物質が含まれています。また、山間部でも落ち葉などが微生物に分解されて生じた物質が川などの水に検出されることがあります。水道水をつくる過程で塩素処理をおこなうと、これらの物質と塩素が反応してトリハロメタンができます。トリハロメタンが水道水に含まれていないか懸念する声がありますが、東京都水道局は以下のように回答しています。
「水道局でお配りしている水道水に含まれる全てのトリハロメタンの量は、水質基準値以下であり、安全性に問題はありません。なお、水質基準は、生涯にわたり摂取しても健康に影響が生じない水準をもって、基準値が設定されています」
※参考:水質<水道水の安全性・その他> | よくある質問 | 東京都水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/faq/qa-22.html
ホルムアルデヒド
ホルムアルデヒドとは、さまざまな産業で利用されている化学物質で、特定の条件下で水道水に混入する可能性があります。過去には、利根川水系でホルムアルデヒドに関する水質事故が発生しています。
このとき、原因になったのは、塩素と反応してホルムアルデヒドをつくり出すヘキサメチレンテトラミン(HMT)という物質でした。HMTを含む廃液が河川に排出され、その水が浄水場で取り入れられ、消毒のために用いられた塩素と反応してホルムアルデヒドがつくり出されてしまいました。
現在は、高度浄水処理によって原水中に含まれるHMTは処理されることが確認されています。その後、消毒のための塩素を添加しても、ホルムアルデヒドはつくり出されません。また、原水中にホルムアルデヒド自体が含まれている場合も、高度浄水処理で100%処理されることが確認されています。
※参考:ホルムアルデヒド等の除去 | 水源・水質 | 東京都水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/25.html
放射性物質
東日本大震災の際、被災した福島第一原子力発電所から、多量の放射性物質が大気中に放出されました。放出された放射性物質は降雨とともに河川へ流入し、河川を水源とする浄水場では水道水から放射性物質が検出されました。
事故直後は、水道水から放射性物質が検出されましたが、水道局では放射性物質の除去方法を検討し、効果的な浄水処理をおこなってきました。東京都水道局では、2011年4月5日以降、現在まで放射性物質は不検出の状態が続いています。
※参考:放射性物質の除去 | 水源・水質 | 東京都水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/23.html
クリプトスポリジウム
クリプトスポリジウムとは、人にも家畜にも感染する病原体の一種です。クリプトスポリジウムに汚染された食物や飲料水などにより、口から入って腸に寄生し、下痢や腹痛、発熱を引き起こします。
クリプトスポリジウムは塩素抵抗性が高いため、浄水場で塩素を注入しても消毒することはできません。ですが、適正量の凝集剤を注入し、沈殿、ろ過することでクリプトスポリジウムそのものを取り除くことができます。
東京都水道局では、厚生労働省が示した「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」に基づき、浄水場で濁りを徹底的に取り除いています。加えて、定期的な検査をおこない、水道水がクリプトスポリジウムに汚染されていないことを確認しています。
※参考:クリプトスポリジウム対策 | 水源・水質 | 東京都水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/32.html
水道水を安全に飲む方法は?
水道水を安全に飲む方法として、手軽なのは「煮沸」することです。水道水を煮沸することで、細菌やウイルスを効果的に除去することができます(ただし、すべての細菌・ウイルスが100℃で死滅するわけではありません)。電気ケトルなどを使えば手軽に煮沸することができますが、冷たい水を飲みたいときは、煮沸後に冷やす必要があります。また、水道水に重金属や農薬、化学物質が含まれていた場合、煮沸では分解できません。
このような場合、効果が期待できるのが「浄水器」です。浄水器を使用することで、水道水中の有害物質や不純物を効果的に除去し、安全性を高めることができます。また、浄水器を使うことで、水道水の味やニオイも改善します。ただし、浄水器のフィルターの機能が低下すると効果も低下するため、定期的なフィルター交換が欠かせません。
ウォーターサーバーなら「クリクラ」にお任せ!
クリクラのウォーターサーバーは多彩なラインナップとお得なプランをご用意。
フィルターの交換などの面倒ごとはクリクラの専門スタッフによる対応でお任せでき、さまざまなニーズに応えるお得なプランと多彩なウォーターサーバーで、多くのお客様から選ばれています。
クリクラのこだわり
クリクラは、安全でおいしい水をお届けするために、水質やウォーターサーバーのメンテナンスに独自のこだわりを持っています。
▼水質
クリクラの水は、宇宙開発の現場などでも採用されている逆浸透膜(RO膜)を使い、不純物を徹底的に除去。56項目の厳しい基準をクリアした水に良質なミネラルを加え、安全でおいしい水をご提供しています。
▼ウォーターサーバー
クリクラのウォーターサーバーは、すべてが自社開発のオリジナル製品。病院の手術室でも使われている高性能フィルター「HEPAフィルター」を標準装備し、ゴミ・粉塵を徹底的に除去しています。
▼メンテナンス
クリクラは年に1回、サーバーを丸ごと交換して、安心・安全にお使いいただける仕組みを取っています。回収したウォーターサーバーは専任のスタッフが細部まで洗浄・殺菌し、冷水・温水の出る給水口(コック)は新品に交換して新品同様の状態にしています。
まとめ
日本の水道水は厳しい水質基準を満たしており、安全性が確保されています。
ですが、独特の塩素臭が気になり、そのまま飲むことに抵抗を感じている人は少なくありません。
また、最近はPFAS汚染のニュースも多く、水道水の安全性に疑問を覚える人も増えています。
安心して水を飲みたい方には、ウォーターサーバーの導入をおすすめします。ウォーターサーバーがあれば、いつでも安全性の高い水を飲むことができ、より健康的で快適な生活を送ることができます